Expeiment1〜ideal〜（2012年）
植田君はいつのまにか「間」というものを心得ていた。この作品で「学生作品」というくくりから完全に抜け出したのではないだろうか。ひとつひとつの映像は、いったい何を意味するのかわからないが、沢山の情報が頭にインプットされてしまう。それは、テレビや街中の広告など自分にとって必要か不必要かには関係なく、インプットされていく情報に酷似しているのではないだろうか。そう気づいた時には、この作品が恐怖の対象へと変わっていた。
一色彩乃（一色プロ）http://iprowork.web.fc2.com/
作家解説
色んな情報、価値観がまるで津波のように我々に襲いかかってくる。それが自身が形成する理想と現実の差を大きくしていく。
その結果自分が何者で何をすべきか分からなくなってしまう。
情報が多く、偽りも数多くある中で自分の欲しいものを取捨するのはとても難しい。それ故、人は結局既存の、できあいのカテゴリーに身を委ねる。しかし、そこにあるのは理想ではなくまるで大量生産された製品のように量産された産物。
その量産された理想に依存しているだけで人々は満足しているのではないか。
（作品紹介）
1.断食系女子（2011年）
この作品はプチ断食サークルという架空の社会現象を描いたドキュメンタリー風の映像作品である。
プチ断食にハマる女子を『断食系女子』と呼ばれ、その断食系女子の素顔に迫るストーリー。
人は『何か』になりたいのではなくその『何か』というカテゴリーに属したいのではないか。
そして今回三面プロジェクターを用いてインタビューを受ける女性の変化を重点的に表現した実験映像。
2.Expeiment1〜ideal〜（2012年）
今の世の中には沢山の理想がある。
一見選択肢が多くあって良いことなのかもしれない。
しかし情報が多すぎる故に人々はそれらを取捨するのが困難になっている。そして知らない間に一方的に与えられえる理想を鵜呑みにしてしまう。それが本当に自分の為かは疑いもせずに…
