お久しぶりです、アート卒業生山本です。今回も気に入った展覧会のレポート(という名の感想文)をお送りいたします。
まずは原美術館の「ニコラ・ビュフ ポリフィーロの夢」展です。そう大きくない美術館ですが常設展示に森村泰昌や奈良美智の作品があります。
この展覧会は以前より行きたかったのに、中々目処が立たずこんな遅くなってしまった。
作者のニコラ氏は日本とアメリカのサブカルチャーに影響を受けたようです
(アメリカのアニメっぽいデザインだと思った)
この展覧会は同名の物語「ポリフィーロの夢(1499年出版)」を参照にし、そのあらすじに沿って展開していきます。(少年ポリフィーロが恋人ポーリアを求め旅にでる物語)ヨーロッパの古典物語と日本のロールプレイングゲームに類似点を見出し、「夢と愛」「闘いと勝利」「死と再生」などの普遍的なテーマが呈示されています。鑑賞者自身が主人公を投影しながら進んでいく。順路で主人公は経験を通して成長し、そして困難を乗り越え恋人を救い無事エンディングとなる。
この物語は最終的には夢であり目が覚めるというと夢だったという結末だそうだ。私は作者の世界観を存分に浸りながら、幼少の頃に描いたものをこういう風に出しきれるものをつくっていてうらやましいと感じた。
さて建物内に入ると映像があってこの物語のあらすじを紙芝居形式で流れています。(それは撮影できてません)
ルートに沿っていくとこういう風に案内されている。シンプルで可愛らしい絵が印象。
階段の先にある窓への装飾。分かりにくいが一番上にヒロイン、その下にヒロインがいる場所と門があり、その下に竜がいる。階段を上がることでどんどん先へ進んでいく表現のようだ。
画像はそんな主人公が成長してスーツを装着したイメージだそうです。
次の部屋ではいよいよ戦闘開始。インタラクティブ作品。丸い場所に立ち、キネクトだと思う装置で画面と連動したアクションができる。画面左下に指示が現れ、それに沿った行動を取りボスを倒す。大体演出込みで一分程でしょうか。クリアになります。クリア後は画面がリセットされ、別の人に交代で同じように進行していきます。
これをやっているとき、後ろの鑑賞者が「これは少し恥ずかしいかな」とつぶやいていた。実際下がって他の人がやるのを見ると、……成る程少々恥ずかしい。
その奥の部屋、小さな祠のようなものがあり、(物語上ボスとの闘いでの)体力の回復する空間だそうです
中に入ると上が鏡面で光の反射が綺麗。下もクッションですわり心地もよく、外観も相成って神秘的な空間になっている。
最後の部屋はイラストで占められています。
説明しきれないですが、実際体験したら素晴らしい展覧会であるといえるのですが、残念ながら終了していて、次に福岡に巡回するそうです。同期だと約一名現地にいるので、もし良ければ実際に見に行ってみるのもいいかと推薦しときます。
もう一件の方も紹介。
同じく東京にあるICCで今年もオープンスペースが始まりました。メディアアート生は一度くらい行っとくといいだろう場所。今年も岩井俊雄の「マシュマロスコープ」が展示されています。同じく昨年から継続展示のグレゴリーバーサミアンの「ジャグラー」もあり、この二点は普段美術とか興味ない層の人にも受け入れられる作品だと思われます。以前どこで見たユークリッド(佐藤雅彦+桐山孝司)の「指紋の池」(自分の指紋を読み込ませ、それがディスプレイ上で動き回っている作品)やevala+鈴木昭男「大きな耳をもったキツネ」(完全な暗闇の中での立体音響が流れる作品)などもいいと思う(後者は是非体験してもらいたい作品だ)
そして何より今年の作品には、ジェフリー・ショーの「レジブル・シティ」が展示されている。もう二十年以上も前の作品だが今でもなんともない作品の強さを感じた。自転車を漕げば画面が連動、ほとんどラグが起きずストレス無く作品を楽しめます。文字の建物を眺めながら漕いでいくと、文章になっているのだろう。英語はある程度読めたが、他の言語は残念ながら読めなかった。ただこれを体験できるんだとすこしばかり感動した。
http://www.ntticc.or.jp/Exhibition/2014/Openspace2014/index_j.html
今年は横浜トリエンナーレの年でもあって首都圏に足を運ぶ学生もいるだろうとおもうが、是非足を運んでみてはいかがだろうか。多少交通費はかかってもここは入場無料であるし、同ビルには東京オペラシティアートギャラリーもある。ここでも頻繁に現代美術を取り扱っています。是非に。ではこれにて。