卒業生の山本です。今回は東京都現代美術館で行われていた『クリスタライズ』展に行ってきました。
恥ずかしながら私、吉岡徳仁の存在を知らず、パンフレットをみてこんな人がいるんだと初めて知ったほどです。
(実は3年ほど前六本木の森美術館で行われた「ネイチャーセンス」展で見た作者とはこの時は知りませんでした。因みにそのときの作品は巨大なガラス張りの空間に粉雪を舞わす作品でした。検索すれば出てくるので興味ある人は是非)
デザイナーだからだろうか、この方の作品はすっきりしたものが多いと感じた。
この展覧会では一部の作品のみ携帯電話での撮影を許可されていました。
それが最初の作品『ウォーターブロック』です。ガラスのベンチです。
全体がガラスでできていて、床にそのまま投影されます。作品ですが座ることもできたので感想として、分厚いガラスなので硬いし緩衝材もないのであんまり長時間座っていたいとは思いません。
あとまわりに長さ30センチ程のストローで構成されたオブジェ群『トルネード』があります。
(森のようとも山のようともいえる)これらはどことなく刺身の大根を髣髴とさせられました。
次の作品群はいづれも結晶の成長を使った作品です(残念ながらこちらの作品は撮影不可だったので申し訳ありませんが説明のみです)
最初の『白鳥の湖』は水槽の中で結晶を成長させた作品です。自然に成長する結晶に音楽を聞かせて、その振動で結晶の造形を変化させていったようです。曲はチャイコフスキーの白鳥の湖だそうです。
次の「ローズ」も結晶の成長作品です。違うのはバラに結晶をつけ成長させている点で、白い結晶がバラを包んでとげとげしくも美しく仕上がっています。こちら二点あるんですが、一点は花の部分がほんのり紅くなっていてとても綺麗です。
結晶作品の最後の作品は『蜘蛛の糸』。芥川龍之介の小説で有名なあの蜘蛛の糸から着想を得ているようで、フレーム内に7本の糸を椅子の形に張り、そこに結晶を成長させて椅子をつくった。座ったら確実につぶれるだろう、形の質量を極限までそぎ落とした造形になっている。
バラ以外は白い結晶作品であり、美しくもどこか壊れそうな儚さを抱かせる作品群である。また結晶ってほっといたらこんな形に成長するのだと知り、結晶に興味がわいた。
この展覧会最大の作品である『虹の教会』アンリマティスから着想を得たそうで、500個ものクリスタルプリズムを集積したステンドグラス。そこからもれる光はあたかも虹を見ているように変化する。(いわゆるプリズムだから当然か)その空間はえもいえない神秘な空間になっていた。
正直携帯撮影なので画質もひどいのでなんともいえないですが、教会とか行かない自分も、こういうところを見ると何か見守られているようなものを感じ、澄んだ気分にさせられる。(行った事ないけど安藤忠雄の光の教会とかもこんな感じなのかなと思えた)
最後の部屋に『レイオブライト』はクリスタルグラスでできた彫刻に光を当てることで、壁に虹色の四角形(窓だったようだ)が映る作品がある。先ほどの作品の小さくしたような作品だが、こちらは虹という点がより顕著になっている。
この展覧会、全体が白、あるいは透明の素材が多く、光の捉え方も良い。以前同じ美術館で見た名和晃平展ともどこか雰囲気が似ていた気がする(名和さんは樹脂の泡が透明感を出していたし、また愛知トリエンナーレでみた泡の作品も大きくまた白さが良く出ていた)
また小規模でもいいから展覧会を開いてくれたらありがたいのに。
以上レポートでした。
山本哲也
吉岡徳仁 ー クリスタライズ】
日時:2013年10月3日~2014年1月19日
場所:東京都現代美術館
詳細:www.mot-art-museum.jp