時間:9:00 – 16:30 夜間特別拝観17:30 – 20:30
場所:旧嵯峨御所 大覚寺門跡
〒616-8411 京都府京都市右京区嵯峨大沢町4
電 話:075-871-0071
○所要時間
旧嵯峨御所 大覚寺 門跡への最寄り駅はJR嵯峨嵐山駅から
徒歩約17分、京福電鉄嵐山駅から徒歩で約23分です。
○拝観時間
午前9時~午後5時(受付は午後4時30分まで)
○休み
無休 ※寺内行事により内拝不可日有
○拝観料金
大人:500円 小中高:300円
(夜間特別拝観は別途料金が必要です)
午後5時30分~午後8時30分 午後8時受付終了
※昼夜入替制
料金:通常の拝観料に含む(拝観料 大人500円・小中高生300円)
出品作家
岡田修二
砥綿正之 松本泰章
岡本高幸 吹田哲二郎 野村仁
主催 京都嵯峨芸術大学
協力 成安造形大学
京都市立芸術大学
sonihouse
旧嵯峨御所大覚寺門跡
企画 京都嵯峨芸術大学芸術学部造形学科メディアアート分野
問い合わせ
京都嵯峨芸術大学芸術学部造形学科メディアアート分野研究
075-864-7858 内線2417
e-mail : ya-matsumoto@kyoto-saga.ac.jp
out of place 2013展について
今回の展示は、大覚寺がもつ豊かな自然との共生をテーマに計画しました。
さらに作品それぞれにサブテーマを設け、
水、海、月のそれぞれのテーマで制作をしました。
会場として宸殿を使用させていただく予定です。
第1のテーマである『水』では、
西の間に岡田先生による全長9mの水辺の絵画を設置します。モノクロームフォトから描き起こされた油絵による現代的な障壁画となります。その中には大沢池での撮影モチーフが用いられています。
第2のテーマである『海』では、
私と砥綿先生によって計画しました。宸殿正面の白砂の庭を海に見立て室戸岬の潮騒の音を設置します。京都に海はありませんが、遥か南の弘法大師ゆかりの室戸の海の音を再現することで日本の自然と文化が海によって大きな恵みを得ていることを改めて感じることが出来ればと思います。
第3のテーマは『月』です。
今回特別に参加を依頼した野村先生は、長年、自身の制作のテーマを自然の営みとし、様々な手法で表現してきておられ、世界的に高く評価されています。彼は大覚寺の環境からテーマとして月を強くイメージされました。そしてその表現のためにさらに2人の協力を希望されました。鶴の間を用いてその水墨画て描かれた静かな空間に3点の作品を設置します。1点は野村先生の月の運行を音楽にした作品。1点は岡本氏による月の名勝地である大覚寺を空から撮影した映像作品です。そして吹田氏による月を主題にした音響彫刻を展示いたします。
私たちは。これら、水、海、月のテーマによって、豊かな環境と貴重な歴史を持つ大覚寺という空間に現代的手法によってに展示されるそれぞれの作品が、現代において重要課題となっている人と自然の共生を表していることを思い出させ、その大切さを訪れる人々に感じていただけることを願っています。
京都嵯峨芸術大学
松本泰章
作品
◯岡田修二
:
水辺65ー自然学ー (2012年 油彩、キャンバス 174x348cm)
水辺67 (2013年 油彩、キャンバス 174x348cm)
水辺68―観月― (2013年 油彩、キャンバス 174x243cm)
作者はグローバルな地球環境の時代における今日的自然美学の実践として、日本文化の精神性の特質を新たなかたちで表現することに取り組んでいます。《水辺》シリーズは、琵琶湖湖畔のフィールドワークを起点として、水辺の情景をマクロレンズによる描写で映像的なヴィジョンとして読み込み、油彩画の古典技法を発展させた方法により定着したものです。今回展示する3作品のうち水辺67と68の2点は今回新たに描かれました。この展覧会のために特別に制作した68は、大沢池にて取材をしたもので、記念として、―観月―と副題が添えられています。
◯砥綿雅之 松本泰章
sky/sea
この作品は、弘法大使空海が修行された四国の室戸岬において録音した海の音を大覚寺の宸殿の前庭に無指向性のスピーカーで響かせる作品です。その海の音は大覚寺の今の空の明るさによって音量が変化します。録音に訪れた時、岬は穏やかな光と風の中にありました。水平線はかすかに曇り、海と空の境界は定かではありませんでした。ただ静かな波と風の音が明るい光の中に響いていました。その音が大覚寺で響くとき、私たちはどのような海、そして空を思い描くことが出来るでしょうか。
◯岡本高明
ランド・マーキング・プロジェクト vol.3 大覚寺大沢池 (写真左奥)
作者がスケールを測りたいと感じた場所に「直径7mの青い輪」を設置します。これは、作者がこれまで様々な場所で1日8時間ひたすら土砂を積み上げ、人の労働エネルギーを可視化させてきた中から生まれたスケールです。つまり、大地に対する人の労働力を単位化する際の基準となる〈ものさし〉です。これを空中撮影します。
作者は、これまで、北海道の炭坑跡地のズリ山や大阪の古墳、東北震災の瓦礫の山など全国各地で撮影を行っています。撮り貯めたそれぞれの写真を比較していく事で、人の大地に対するアプローチや営みを時空を超えて一つの身体スケールでとらえようとするプロジェクトです。
今回、大覚寺の大沢池が1200年前の形態を残している事から、その大きさを身体スケールでとらえようと試みです。
展示作品を上記ホームページで公開中です。大覚寺上空100mのパノラマを自在に操作できます。パソコンやスマートフォンで体験ください。
◯吹田哲二郎
「パイプの満ち欠け 2360.586」 (写真手前)
25年来「The Hidden Dimention(かくれた次元)」をテーマに、パソコン、電子機器、センサーなどを用いた彫刻表現、音楽とは異なるサウンドによる表現の研究を行い、振動を通して観る人と作品をつなぐ作品を制作しています。今回は、大覚寺の宸殿「鶴の間」に長さ2mの金属製のパイプを設置し、間欠的に金属の振動音を響かせます。その音は、意味や理論を伝えることはありませんが、時折響く金属音は、その日の光や、風の音、観客の声、他の作品の音と響き合いながら、その瞬間に顕われる存在の実感を明確に私たちに伝えます。
◯野村仁
ISS宇宙飛行士の'moon' score (写真右奥)
この作品は、あらかじめ五線譜を写し込んだフィルムで月を撮影し、その五線譜に写り込んだ月を楽譜に見立てて音楽として再現させた作品を宇宙空間へと発展させたものです。
若田さんをはじめとするJAXAとNASAの宇宙飛行士達によってISS国際宇宙ステーションの窓を通して撮影された月の写真は、地球の大気の淡くはかないグラデーションとともにすばらしい解像度で移しとどめられています。そこに円形の五線譜を重ね会わせて、本来なら聞こえるはずの無い地球と月の調べが奏でられます。
出品作家略歴
岡田修二 OKADA SHUJI
1959年香川県生まれ。
1996年頃より、一見、モノクロ写真と見間違うほどリアルに描かれた油絵作品を制作。
絵画をめぐる視覚の本質を問う独特のスタイルで1998年にはVOCA奨励賞受賞を受賞。
近年では、琵琶湖畔の植物風景を描いた「水辺シリーズ」を展開し、単なるリアリズムを超えて、写実的でありながら高い抽象性を獲得しうる表現を模索している。
滋賀県立近代美術館、高松市美術館、大原美術館等にて大規模な個展を開催し、好評を得る。
http://shuji-okada.com/
砥綿正之 TOWATA MASAYUKI
1959年福岡県生まれ
松本泰章 MATSUMOTO YASUAKI
1958年兵庫県生まれ
1991年」ディヴィナ・コメディアー死のプラクシスー」より、協力して様々な作品を制作。
哲学、文学、美術、宗教、建築、科学等諸領域を横断する試みを続けている。
近年は、太陽光発電等自然エネルギーを用いたIRIS PROJECTを進めている。
http://towata-matsumoto.net/
岡本高幸 OKAMOTO TAKAYUKI
1978年 大阪府 生まれ
人が身体に対して新たなイメージを獲得することを目指して、彫刻という概念を視野に入れながら制作活動を展開中。
近年は、身体のみに焦点を当てるのではなく身体と場との関わりからの新たなイメージの獲得を試みている。
また、身体と場の関わりを空撮によってとらえ、景色としてではなく時空を超えたその場の持つスケールや圧力をより生々しく捉える事を目指している。
http://okamo811.wix.com/takayuki-okamoto
吹田哲二郎 SUITA TETSUJIRO
1963年 京都生まれ
音楽と彫刻を学んだ後、美術、映画、サウンドデザイン等の様々な領域で活動。
1989年のJOHN CAGE 来日公演では「4’33”」をPA演奏。
また、2012年には京阪本線でJOHN CAGE のプリペアド・トレインへのオマージュとなるライブパフォーマンスを制作。
音響彫刻という表現手法を開拓し、「The Hidden Dimention(かくれた次元)」をテーマに振動を通した制作活動を展開。
野村仁 NOMURA HITOSHI
1945年兵庫県生まれ
1960年代末から、いち早く写真を使った美術表現に取り組み、固体物が形を変え、その様相を変化させていくさまを写真で記録し、
「重力」や「時間」を眼に見えるかたちで示す作品で注目を集める。物の存在や時間に関心を持ち、やがて、その眼差しの対象を、
地上の現象から、空や宇宙へと広げることで、太陽や月の運行の軌跡が美しい形を創り出すことを発見し、
それを写真だけでなく、映像や音、さまざまな媒体を使って新たな表現を生み出し続けている。